今回は、小児・成長期にみられる「野球肘障害」についてお話しします。
少年野球選手の障害は肘が最も多いとされ、沖縄野球肘検診の結果では約30%の選手に肘痛の既往を認めていました。

成長期の野球肘には、大きく分けて以下の3つがあります。
・リトルリーガーズエルボー
・肘離断性骨軟骨炎
・肘頭骨端線閉鎖不全
これらに共通するのは、いずれも骨や軟骨に障害が起こるという点です。
成長期の子どもは軟骨が厚く、骨がまだ未成熟です。そのため、骨端軟骨、いわゆる「成長軟骨」に負担がかかりやすく、投球動作の繰り返しによって障害が生じることがあります。痛みの部位によって、ある程度疾患を推測できます。

リトルリーガーズエルボー(内側障害):
リトルリーガーズエルボーは最も多い疾患で、肘の内側にある上腕骨内側上顆に異常がみられます。
上腕骨内側上顆には、前腕を動かす筋肉や内側側副靱帯が付着しています。投球動作によってこれらが繰り返し引っ張られることで、成長軟骨に負担がかかり、骨端核の肥大や分離・分節などが起こると考えられています。

肘離断性骨軟骨炎(外側障害):
肘離断性骨軟骨炎は、主に肘の外側に起こる障害です。
投球時に肘へ外反ストレスがかかることで、上腕骨小頭に圧迫力や剪断力が加わり、成長軟骨の骨化に障害が起こると考えられています。
初期には痛みが少ないこともあり、気づかないうちに進行する場合があるため、早期発見・早期対応が大切です。進行すると手術を要することも多く、注意が必要な疾患です。

肘頭骨端線閉鎖不全(後方障害):
肘頭骨端線閉鎖不全は、肘の後方にある肘頭に起こる障害です。
投球時に肘頭と肘頭窩が衝突したり、上腕三頭筋による牽引力が繰り返しかかったりすることで、肘頭の成長軟骨の閉鎖・骨化が妨げられる疾患です。


☞ 野球肘は「肘だけ」の問題ではありません
野球肘は肘に痛みが出ますが、原因は肘だけとは限りません。体全体の機能低下や投球フォームの乱れが、肘への負担を増やしていることがあります。
特に、筋肉の硬さ、肩甲骨や胸郭の動きの悪さ、体幹・股関節の回旋不足は重要です。
肩の回旋に頼った投げ方、いわゆる「肩投げ」では、肘への外反ストレスが大きくなりやすくなります。そのため、肩はなるべくゼロポジション(肩甲骨と腕が一直線上)に保ち、胸郭のしなり、肩甲骨の柔軟性、体幹や股関節の回旋を使った投球動作を身につけることが大切です。

- 当院での治療と再発予防 -
当院では、成長期の野球肘に対して、痛みのある肘の治療だけでなく、全身の機能改善を目的とした運動療法・コンディショニングを重視しています。投球フォームや体の使い方を見直し、肘に負担がかかりにくい体づくりを行うことで、再発予防や競技復帰をサポートします。
肘の痛みでお困りの野球少年がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。一緒に、ケガなく長く野球を続けられる体づくりを目指していきましょう。